受取手形記入帳・支払手形記入帳 - 手形取引を詳細に管理する
受取手形記入帳と支払手形記入帳の記入方法について学びます。手形の振出人、期日、満期日などの詳細情報を記録し、手形を適切に管理する方法を理解します。
学習目標
- check_circle受取手形記入帳の記入項目を理解する
- check_circle支払手形記入帳の記入項目を理解する
- check_circle手形記入帳から総勘定元帳への転記方法を理解する
- check_circle手形管理の重要性を理解する
受取手形記入帳・支払手形記入帳とは
受取手形記入帳(うけとりてがたきにゅうちょう)と支払手形記入帳(しはらいてがたきにゅうちょう)は、手形取引の詳細を記録する補助簿です。
仕訳帳や総勘定元帳では手形の金額しか記録されませんが、手形記入帳では以下のような詳細情報を管理できます。
手形記入帳が必要な理由
手形取引では、以下の情報を正確に管理する必要があります。
- 誰が振り出したのか(振出人)
- いつ振り出されたのか(振出日)
- いつ支払われるのか(満期日)
- どこで支払われるのか(支払場所)
- 最終的にどうなったのか(決済、裏書譲渡、割引など)
これらの情報を記録することで、手形を適切に管理し、支払期日を見逃すことなく、確実に代金を回収または支払うことができます。
受取手形記入帳の記入方法
受取手形記入帳は、受取手形を受け取ったときに記入する帳簿です。
主な記入項目
受取手形記入帳には、以下の項目を記入します。
1. 日付欄
手形を受け取った日付を記入します。
2. 手形種類・手形番号欄
- 手形種類: 簿記3級では「約手(約束手形の略)」のみが出題されます
- 手形番号: 手形に記載されている番号を記入します
3. 摘要欄
手形を受け取った理由(取引内容)を記入します。
記入例:
- 「売上」→ 商品を売って、その代金として手形を受け取った
- 「売掛金」→ 売掛金の回収として手形を受け取った
- 「貸付金」→ 貸付金の回収として手形を受け取った
4. 振出人欄
手形を振り出した人(企業名や個人名)を記入します。振出人は、満期日に手形代金を支払う義務を負っている人です。
5. 振出日・期日欄
- 振出日: 手形が作成された日
- 期日: 手形が振り出されてから何日後に支払われるか(例:30日後、60日後)
6. 満期日欄
手形代金が実際に支払われる日を記入します。
計算例:
振出日: 10月1日
期日: 60日後
満期日: 11月30日(10月31日 + 30日 = 11月30日)
7. 支払場所欄
手形代金が支払われる銀行名や支店名を記入します。
8. 金額欄
手形の額面金額を記入します。
9. てん末欄
手形が最終的にどうなったかを記入します。
記入例:
- 「決済」→ 満期日に無事に代金が支払われた
- 「裏書譲渡」→ 他社への支払いに使用した
- 「割引」→ 銀行で割引した(満期前に現金化した)
- 「不渡」→ 支払いがされなかった
受取手形記入帳の記入例
例題: 10月15日、A商店に商品¥500,000を売り上げ、同店振出し、支払場所B銀行、振出日10月15日、満期日12月14日(60日後)の約束手形を受け取った。手形番号は第101号である。
受取手形記入帳への記入:
| 日付 | 手形 種類 | 手形 番号 | 摘要 | 振出人 | 振出日 | 期日 | 満期日 | 支払場所 | 金額 | てん末 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/15 | 約手 | 第101号 | 売上 | A商店 | 10/15 | 60日後 | 12/14 | B銀行 | 500,000 |
満期日の12月14日に無事に決済されたら、てん末欄に「決済」と記入します。
支払手形記入帳の記入方法
支払手形記入帳は、支払手形を振り出したときに記入する帳簿です。
主な記入項目
支払手形記入帳の記入項目は、受取手形記入帳とほぼ同じです。違いは以下の点です。
受取人欄
受取手形記入帳では「振出人」でしたが、支払手形記入帳では「受取人」になります。自社が手形を振り出して、相手企業に渡すためです。
摘要欄
支払手形を振り出した理由を記入します。
記入例:
- 「仕入」→ 商品を仕入れて、その代金として手形を振り出した
- 「買掛金」→ 買掛金の支払いとして手形を振り出した
- 「借入金」→ 借入金の返済として手形を振り出した
支払手形記入帳の記入例
例題: 10月20日、C商店から商品¥300,000を仕入れ、同店宛て、支払場所D銀行、振出日10月20日、満期日12月19日(60日後)の約束手形を振り出した。手形番号は第205号である。
支払手形記入帳への記入:
| 日付 | 手形 種類 | 手形 番号 | 摘要 | 受取人 | 振出日 | 期日 | 満期日 | 支払場所 | 金額 | てん末 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/20 | 約手 | 第205号 | 仕入 | C商店 | 10/20 | 60日後 | 12/19 | D銀行 | 300,000 |
満期日の12月19日に無事に支払いを完了したら、てん末欄に「決済」(または「支払」)と記入します。
総勘定元帳への転記
手形記入帳から総勘定元帳への転記は、月末にまとめて行います。
受取手形記入帳からの転記
転記方法:
- 受取手形記入帳の金額欄の月末合計を計算
- 総勘定元帳の「受取手形」勘定の借方に転記
例: 10月中に受け取った手形の合計が¥1,500,000の場合
総勘定元帳(受取手形勘定):
| 日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 日付 | 摘要 | 仕丁 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/31 | 諸口 | 受手1 | 1,500,000 |
「仕丁」欄には、受取手形記入帳のページ番号(例:受手1)を記入します。「摘要」欄は、複数の取引の合計なので「諸口」と記入します。
支払手形記入帳からの転記
転記方法:
- 支払手形記入帳の金額欄の月末合計を計算
- 総勘定元帳の「支払手形」勘定の貸方に転記
例: 10月中に振り出した手形の合計が¥900,000の場合
総勘定元帳(支払手形勘定):
| 日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 日付 | 摘要 | 仕丁 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/31 | 諸口 | 支手1 | 900,000 |
「仕丁」欄には、支払手形記入帳のページ番号(例:支手1)を記入します。
手形管理の重要性
手形記入帳を正確に記入することは、以下の理由から非常に重要です。
1. 支払期日の管理
満期日を見逃すと、不渡(ふわたり)となり、企業の信用が大きく損なわれます。特に支払手形記入帳で満期日を管理することは、資金繰りの計画にも不可欠です。
2. 債権・債務の把握
誰からいくら受け取る権利があるのか(受取手形)、誰にいくら支払う義務があるのか(支払手形)を明確に把握できます。
3. てん末の追跡
手形が決済されたのか、裏書譲渡されたのか、割引されたのかを記録することで、手形の流れを追跡できます。
4. 試算表との照合
手形記入帳の残高と試算表の受取手形・支払手形の残高が一致するかを確認することで、記帳ミスを発見できます。
簿記3級試験でのポイント
簿記3級の第2問では、手形記入帳の記入問題が出題されることがあります。
出題パターン
-
取引内容から手形記入帳に記入する問題
- 取引内容を読み取り、適切な項目に記入します
-
手形記入帳から仕訳を読み取る問題
- 摘要欄を見て、どのような取引だったかを推測します
- 例:摘要欄が「売上」→ 売上の対価として手形を受け取った
- 例:摘要欄が「売掛金」→ 売掛金の回収として手形を受け取った
重要な確認事項
- 約束手形のみ: 簿記3級では為替手形は出題されません
- 手形種類欄は「約手」: 必ず「約手」と記入します
- 満期日の計算: 期日が「60日後」の場合、振出日から60日後を正確に計算します
- てん末欄の記入: 決済されたら「決済」または「支払」と記入します
まとめ
このレッスンでは、受取手形記入帳と支払手形記入帳の記入方法について学びました。
重要ポイント
- check_circle手形記入帳は、手形取引の詳細情報(振出人、満期日など)を記録する補助簿
- check_circle受取手形記入帳には振出人、支払手形記入帳には受取人を記入する
- check_circle摘要欄には取引内容(「売上」「仕入」など)を記入する
- check_circleてん末欄には、決済、裏書譲渡、割引などの最終的な結果を記入する
- check_circle月末に合計を計算し、総勘定元帳に転記する
- check_circle簿記3級では約束手形のみが出題され、手形種類欄は「約手」と記入
次のステップ
次のレッスンでは、固定資産台帳について学びます。固定資産の取得から売却までを記録する重要な補助簿です。