その他の収益・費用の仕訳 - 営業外取引を理解しよう
給料、消耗品費、旅費交通費、受取利息、支払利息、受取手数料、支払手数料、受取家賃、支払家賃など、営業外の収益・費用の仕訳方法について学びます。
学習目標
- check_circle給料の支払いに関する仕訳ができる
- check_circle消耗品費、旅費交通費などの各種費用の仕訳ができる
- check_circle受取利息・支払利息の仕訳と利息の計算ができる
- check_circle受取手数料・支払手数料の仕訳ができる
- check_circle受取家賃・支払家賃の仕訳ができる
その他の収益・費用とは
これまで商品売買取引や手形取引、固定資産など、主要な取引の仕訳を学習してきました。
このレッスンでは、営業外の収益・費用や間接的な費用など、その他の重要な勘定科目の仕訳方法を学びます。
このレッスンで扱う勘定科目
費用グループ
- 給料: 従業員への給与支払い
- 消耗品費: 事務用品など消耗品の購入
- 旅費交通費: 出張費用や交通費
- 支払利息: 借入金の利息
- 支払手数料: 銀行手数料などの支払い
- 支払家賃: 建物の賃借料
収益グループ
- 受取利息: 預金や貸付金の利息収入
- 受取手数料: 仲介業務などの手数料収入
- 受取家賃: 建物の貸付による家賃収入
これらの勘定科目は、損益計算書の営業外収益・営業外費用に該当し、簿記3級の第1問(仕訳問題)で頻出します。
給料の仕訳
給料とは、従業員に支払う給与や賃金のことで、費用の勘定科目です。
給料支払いの基本
給料を支払う際には、源泉徴収といって、所得税や社会保険料などを天引きする必要があります。
源泉徴収制度とは
企業が従業員に代わって、給料から税金や社会保険料を差し引き、国や地方自治体に納付する制度です。
天引きされる主な項目:
- 源泉所得税
- 住民税
- 社会保険料(健康保険・厚生年金)
天引きした金額は、企業が一時的に預かっているため、**預り金(負債)**として処理します。
例1: 給料の支払い(天引きなし)
取引: 従業員に給料30万円を現金で支払った。
考え方:
- 給料(費用)が発生 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:給料 300,000 / 貸方:現金 300,000
例2: 給料の支払い(源泉所得税を天引き)
取引: 従業員に給料30万円を支払い、源泉所得税2万円を差し引いて、残額を現金で支払った。
考え方:
- 給料(費用)が発生 → 借方(30万円)
- 源泉所得税を天引き → 貸方(預り金:2万円)
- 現金で残額を支払い → 貸方(現金:28万円)
仕訳:
借方:給料 300,000 / 貸方:預り金 20,000
現金 280,000
ポイント: 給料は総支給額(30万円)で記録し、天引きした金額は預り金(負債)として処理します。
例3: 預り金の納付
取引: 従業員から預かった源泉所得税2万円を現金で納付した。
考え方:
- 預り金(負債)が減少 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:預り金 20,000 / 貸方:現金 20,000
消耗品費の仕訳
消耗品費とは、事務用品や日用品など、短期間で消費される物品の購入費用のことで、費用の勘定科目です。
消耗品費の対象となるもの
- 事務用品: ボールペン、ノート、コピー用紙、封筒
- 日用品: 洗剤、ティッシュペーパー
- その他: 電球、工具など
注意点: 消耗品には「消耗品(資産)」と「消耗品費(費用)」の2つの勘定科目がありますが、簿記3級では主に購入時に費用として処理する方法を学びます。
例1: 消耗品の購入
取引: 事務用品5万円を現金で購入した。
考え方:
- 消耗品費(費用)が発生 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:消耗品費 50,000 / 貸方:現金 50,000
例2: 消耗品の掛け購入
取引: 事務用消耗品3万円を掛けで購入した。
考え方:
- 消耗品費(費用)が発生 → 借方
- 買掛金(負債)が増加 → 貸方
仕訳:
借方:消耗品費 30,000 / 貸方:買掛金 30,000
注意: 消耗品を掛けで購入した場合、相手勘定は「未払金」ではなく**「買掛金」**を使用します。これは簿記3級では通常の営業取引として扱われるためです。
旅費交通費の仕訳
旅費交通費とは、出張時の交通費や宿泊費、日当などを含む費用の勘定科目です。
旅費交通費に含まれるもの
- 交通費: 電車、バス、飛行機、タクシー代
- 宿泊費: ホテルや旅館の宿泊料金
- 日当: 出張時の食事代や雑費
例1: 出張旅費の支払い
取引: 従業員の出張旅費6万円を現金で支払った。
考え方:
- 旅費交通費(費用)が発生 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:旅費交通費 60,000 / 貸方:現金 60,000
例2: 概算払いと精算
取引1: 従業員の出張のため、旅費として概算10万円を現金で仮払いした。
考え方:
- 仮払金(資産)が増加 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:仮払金 100,000 / 貸方:現金 100,000
取引2: 従業員が出張から帰社し、実際の旅費は9万円であった。残額1万円を現金で受け取った。
考え方:
- 旅費交通費(費用)が発生 → 借方(9万円)
- 現金(資産)が増加 → 借方(1万円)
- 仮払金(資産)が減少 → 貸方(10万円)
仕訳:
借方:旅費交通費 90,000 / 貸方:仮払金 100,000
現金 10,000
ポイント: 仮払金については、その他の債権・債務で詳しく学習しました。
受取利息・支払利息の仕訳
支払利息とは
支払利息とは、借入金や社債に対して支払う利息のことで、営業外費用の勘定科目です。
損益計算書では、営業利益の下、経常利益を計算する際に差し引かれます。
受取利息とは
受取利息とは、預金や貸付金から得られる利息収入のことで、営業外収益の勘定科目です。
損益計算書では、営業利益に加算されて経常利益を計算します。
利息の計算方法
利息は以下の公式で計算します。
利息 = 元金 × 年利率 × 期間(月数)÷ 12
例: 100万円を年利率3%で6ヶ月間借り入れた場合
利息 = 1,000,000円 × 3% × 6ヶ月 ÷ 12 = 15,000円
例1: 支払利息の仕訳
取引: 銀行から借り入れていた借入金100万円を、利息1万5,000円とともに現金で返済した。
考え方:
- 借入金(負債)が減少 → 借方(100万円)
- 支払利息(費用)が発生 → 借方(1万5,000円)
- 現金(資産)が減少 → 貸方(101万5,000円)
仕訳:
借方:借入金 1,000,000 / 貸方:現金 1,015,000
支払利息 15,000
例2: 受取利息の仕訳
取引: 取引先に貸し付けていた貸付金50万円を、利息5,000円とともに現金で回収した。
考え方:
- 現金(資産)が増加 → 借方(50万5,000円)
- 貸付金(資産)が減少 → 貸方(50万円)
- 受取利息(収益)が発生 → 貸方(5,000円)
仕訳:
借方:現金 505,000 / 貸方:貸付金 500,000
受取利息 5,000
例3: 預金利息の受取
取引: 普通預金に利息2,000円が入金された。
考え方:
- 普通預金(資産)が増加 → 借方
- 受取利息(収益)が発生 → 貸方
仕訳:
借方:普通預金 2,000 / 貸方:受取利息 2,000
ポイント: 利息に関する決算整理仕訳(未収収益・未払費用)については、経過勘定で詳しく学習します。
受取手数料・支払手数料の仕訳
支払手数料とは
支払手数料とは、銀行振込手数料、仲介手数料、弁護士報酬など、各種サービスに対して支払う手数料のことで、営業外費用または販売費及び一般管理費の勘定科目です。
支払手数料に含まれるもの
- 銀行手数料: 振込手数料、ATM手数料
- 専門家報酬: 弁護士、税理士、会計士への報酬
- 仲介手数料: 不動産仲介、金融商品の売買手数料
受取手数料とは
受取手数料とは、仲介業務、代行業務、管理業務などに対して受け取る手数料収入のことで、営業外収益の勘定科目です。
重要な区別:
- 手数料が本業の場合 → 「売上」として処理
- 手数料が本業以外の場合 → 「受取手数料」として処理
例:
- 不動産会社が仲介手数料を受け取る → 売上
- 製造業が土地取引の仲介をして手数料を受け取る → 受取手数料
例1: 支払手数料の仕訳
取引: 銀行振込手数料550円が当座預金から引き落とされた。
考え方:
- 支払手数料(費用)が発生 → 借方
- 当座預金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:支払手数料 550 / 貸方:当座預金 550
例2: 受取手数料の仕訳
取引: 取引先2社の仲介をして、手数料30万円を現金で受け取った。なお、手数料収入は本業ではない。
考え方:
- 現金(資産)が増加 → 借方
- 受取手数料(収益)が発生 → 貸方
仕訳:
借方:現金 300,000 / 貸方:受取手数料 300,000
受取家賃・支払家賃の仕訳
支払家賃とは
支払家賃とは、事務所や店舗など、事業用の建物を借りる際に支払う家賃のことで、費用(販売費及び一般管理費)の勘定科目です。
損益計算書では、販売費及び一般管理費に含まれ、営業利益を計算する際に差し引かれます。
受取家賃とは
受取家賃とは、自社が所有する建物を他者に貸し出して得る家賃収入のことで、営業外収益の勘定科目です。
損益計算書では、営業利益に加算されて経常利益を計算します。
例1: 支払家賃の仕訳
取引: 事務所の家賃15万円を現金で支払った。
考え方:
- 支払家賃(費用)が発生 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:支払家賃 150,000 / 貸方:現金 150,000
例2: 受取家賃の仕訳
取引: 所有している建物の家賃20万円を現金で受け取った。
考え方:
- 現金(資産)が増加 → 借方
- 受取家賃(収益)が発生 → 貸方
仕訳:
借方:現金 200,000 / 貸方:受取家賃 200,000
例3: 家賃の前払い
取引: 来月分の事務所家賃15万円を現金で支払った。
考え方:
- 前払家賃(資産)が増加 → 借方
- 現金(資産)が減少 → 貸方
仕訳:
借方:前払家賃 150,000 / 貸方:現金 150,000
ポイント: 前払家賃や未払家賃などの決算整理については、経過勘定で詳しく学習します。
「支払○○」と「受取○○」の関係
簿記では、同じ取引に対して支払う側と受け取る側で、対応する勘定科目が存在します。
| 自社が支払う場合(費用) | 自社が受け取る場合(収益) |
|---|---|
| 支払利息 | 受取利息 |
| 支払手数料 | 受取手数料 |
| 支払家賃 | 受取家賃 |
| 支払地代 | 受取地代 |
覚え方のルール
- 「支払○○」 → 費用 → 借方で発生
- 「受取○○」 → 収益 → 貸方で発生
このパターンを覚えておくと、仕訳がスムーズにできるようになります。
まとめと第1問対策
頻出パターンのまとめ
このレッスンで学んだ勘定科目は、簿記3級の第1問(仕訳問題)で頻繁に出題されます。
頻出度が高い取引:
- 給料の支払い(源泉徴収あり): 預り金の処理がポイント
- 利息の仕訳: 計算問題と組み合わせて出題されやすい
- 旅費交通費の仮払金精算: 複合仕訳の典型例
- 手数料や家賃の仕訳: 「支払」と「受取」の区別
仕訳のチェックポイント
1. 費用と収益を正しく区別する
- 支払○○、消耗品費、旅費交通費、給料 → すべて費用
- 受取○○ → すべて収益
2. 借方・貸方を正しく記入する
簿記の基本原則で学んだように:
- 費用は借方で発生
- 収益は貸方で発生
3. 複合仕訳を恐れない
給料の源泉徴収や、旅費の仮払金精算のように、借方または貸方に複数の勘定科目が並ぶ場合があります。
ポイント: 取引を1つ1つ分解して考えると、理解しやすくなります。
まとめ
このレッスンでは、営業外の収益・費用など、その他の重要な勘定科目の仕訳について学びました。
重要ポイント
- check_circle給料は総支給額で記録し、天引き分は預り金(負債)で処理
- check_circle消耗品費は購入時に費用として処理(簿記3級の基本方法)
- check_circle利息の計算式: 元金 × 年利率 × 期間(月数)÷ 12
- check_circle支払利息・支払手数料・支払家賃 → 費用(借方で発生)
- check_circle受取利息・受取手数料・受取家賃 → 収益(貸方で発生)
- check_circle旅費交通費は仮払金を使って概算払い → 後日精算するパターンが頻出
- check_circle手数料収入が本業なら売上、本業以外なら受取手数料
次のステップ
次のレッスンでは、税金の仕訳について学びます。消費税の税抜方式・税込方式、仮払消費税・仮受消費税、法人税等の処理方法を理解しましょう。簿記3級で頻出の重要論点です。