仕訳の基礎 signal_cellular_alt 難易度 2 schedule 40分

その他の収益・費用の仕訳 - 営業外取引を理解しよう

給料、消耗品費、旅費交通費、受取利息、支払利息、受取手数料、支払手数料、受取家賃、支払家賃など、営業外の収益・費用の仕訳方法について学びます。

学習目標

  • check_circle給料の支払いに関する仕訳ができる
  • check_circle消耗品費、旅費交通費などの各種費用の仕訳ができる
  • check_circle受取利息・支払利息の仕訳と利息の計算ができる
  • check_circle受取手数料・支払手数料の仕訳ができる
  • check_circle受取家賃・支払家賃の仕訳ができる

その他の収益・費用とは

これまで商品売買取引手形取引固定資産など、主要な取引の仕訳を学習してきました。

このレッスンでは、営業外の収益・費用間接的な費用など、その他の重要な勘定科目の仕訳方法を学びます。

このレッスンで扱う勘定科目

費用グループ

  • 給料: 従業員への給与支払い
  • 消耗品費: 事務用品など消耗品の購入
  • 旅費交通費: 出張費用や交通費
  • 支払利息: 借入金の利息
  • 支払手数料: 銀行手数料などの支払い
  • 支払家賃: 建物の賃借料

収益グループ

  • 受取利息: 預金や貸付金の利息収入
  • 受取手数料: 仲介業務などの手数料収入
  • 受取家賃: 建物の貸付による家賃収入

これらの勘定科目は、損益計算書の営業外収益・営業外費用に該当し、簿記3級の第1問(仕訳問題)で頻出します。


給料の仕訳

給料とは、従業員に支払う給与や賃金のことで、費用の勘定科目です。

給料支払いの基本

給料を支払う際には、源泉徴収といって、所得税や社会保険料などを天引きする必要があります。

源泉徴収制度とは

企業が従業員に代わって、給料から税金や社会保険料を差し引き、国や地方自治体に納付する制度です。

天引きされる主な項目:

  • 源泉所得税
  • 住民税
  • 社会保険料(健康保険・厚生年金)

天引きした金額は、企業が一時的に預かっているため、**預り金(負債)**として処理します。


例1: 給料の支払い(天引きなし)

取引: 従業員に給料30万円を現金で支払った。

考え方:

  • 給料(費用)が発生 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:給料 300,000 / 貸方:現金 300,000

例2: 給料の支払い(源泉所得税を天引き)

取引: 従業員に給料30万円を支払い、源泉所得税2万円を差し引いて、残額を現金で支払った。

考え方:

  • 給料(費用)が発生 → 借方(30万円)
  • 源泉所得税を天引き → 貸方(預り金:2万円)
  • 現金で残額を支払い → 貸方(現金:28万円)

仕訳:

借方:給料 300,000 / 貸方:預り金   20,000
                         現金   280,000

ポイント: 給料は総支給額(30万円)で記録し、天引きした金額は預り金(負債)として処理します。


例3: 預り金の納付

取引: 従業員から預かった源泉所得税2万円を現金で納付した。

考え方:

  • 預り金(負債)が減少 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:預り金 20,000 / 貸方:現金 20,000

消耗品費の仕訳

消耗品費とは、事務用品や日用品など、短期間で消費される物品の購入費用のことで、費用の勘定科目です。

消耗品費の対象となるもの

  • 事務用品: ボールペン、ノート、コピー用紙、封筒
  • 日用品: 洗剤、ティッシュペーパー
  • その他: 電球、工具など

注意点: 消耗品には「消耗品(資産)」と「消耗品費(費用)」の2つの勘定科目がありますが、簿記3級では主に購入時に費用として処理する方法を学びます。


例1: 消耗品の購入

取引: 事務用品5万円を現金で購入した。

考え方:

  • 消耗品費(費用)が発生 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:消耗品費 50,000 / 貸方:現金 50,000

例2: 消耗品の掛け購入

取引: 事務用消耗品3万円を掛けで購入した。

考え方:

  • 消耗品費(費用)が発生 → 借方
  • 買掛金(負債)が増加 → 貸方

仕訳:

借方:消耗品費 30,000 / 貸方:買掛金 30,000

注意: 消耗品を掛けで購入した場合、相手勘定は「未払金」ではなく**「買掛金」**を使用します。これは簿記3級では通常の営業取引として扱われるためです。


旅費交通費の仕訳

旅費交通費とは、出張時の交通費や宿泊費、日当などを含む費用の勘定科目です。

旅費交通費に含まれるもの

  • 交通費: 電車、バス、飛行機、タクシー代
  • 宿泊費: ホテルや旅館の宿泊料金
  • 日当: 出張時の食事代や雑費

例1: 出張旅費の支払い

取引: 従業員の出張旅費6万円を現金で支払った。

考え方:

  • 旅費交通費(費用)が発生 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:旅費交通費 60,000 / 貸方:現金 60,000

例2: 概算払いと精算

取引1: 従業員の出張のため、旅費として概算10万円を現金で仮払いした。

考え方:

  • 仮払金(資産)が増加 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:仮払金 100,000 / 貸方:現金 100,000

取引2: 従業員が出張から帰社し、実際の旅費は9万円であった。残額1万円を現金で受け取った。

考え方:

  • 旅費交通費(費用)が発生 → 借方(9万円)
  • 現金(資産)が増加 → 借方(1万円)
  • 仮払金(資産)が減少 → 貸方(10万円)

仕訳:

借方:旅費交通費 90,000 / 貸方:仮払金 100,000
      現金      10,000

ポイント: 仮払金については、その他の債権・債務で詳しく学習しました。


受取利息・支払利息の仕訳

支払利息とは

支払利息とは、借入金や社債に対して支払う利息のことで、営業外費用の勘定科目です。

損益計算書では、営業利益の下、経常利益を計算する際に差し引かれます。

受取利息とは

受取利息とは、預金や貸付金から得られる利息収入のことで、営業外収益の勘定科目です。

損益計算書では、営業利益に加算されて経常利益を計算します。


利息の計算方法

利息は以下の公式で計算します。

利息 = 元金 × 年利率 × 期間(月数)÷ 12

: 100万円を年利率3%で6ヶ月間借り入れた場合

利息 = 1,000,000円 × 3% × 6ヶ月 ÷ 12 = 15,000円

例1: 支払利息の仕訳

取引: 銀行から借り入れていた借入金100万円を、利息1万5,000円とともに現金で返済した。

考え方:

  • 借入金(負債)が減少 → 借方(100万円)
  • 支払利息(費用)が発生 → 借方(1万5,000円)
  • 現金(資産)が減少 → 貸方(101万5,000円)

仕訳:

借方:借入金   1,000,000 / 貸方:現金 1,015,000
      支払利息     15,000

例2: 受取利息の仕訳

取引: 取引先に貸し付けていた貸付金50万円を、利息5,000円とともに現金で回収した。

考え方:

  • 現金(資産)が増加 → 借方(50万5,000円)
  • 貸付金(資産)が減少 → 貸方(50万円)
  • 受取利息(収益)が発生 → 貸方(5,000円)

仕訳:

借方:現金 505,000 / 貸方:貸付金   500,000
                         受取利息    5,000

例3: 預金利息の受取

取引: 普通預金に利息2,000円が入金された。

考え方:

  • 普通預金(資産)が増加 → 借方
  • 受取利息(収益)が発生 → 貸方

仕訳:

借方:普通預金 2,000 / 貸方:受取利息 2,000

ポイント: 利息に関する決算整理仕訳(未収収益・未払費用)については、経過勘定で詳しく学習します。


受取手数料・支払手数料の仕訳

支払手数料とは

支払手数料とは、銀行振込手数料、仲介手数料、弁護士報酬など、各種サービスに対して支払う手数料のことで、営業外費用または販売費及び一般管理費の勘定科目です。

支払手数料に含まれるもの

  • 銀行手数料: 振込手数料、ATM手数料
  • 専門家報酬: 弁護士、税理士、会計士への報酬
  • 仲介手数料: 不動産仲介、金融商品の売買手数料

受取手数料とは

受取手数料とは、仲介業務、代行業務、管理業務などに対して受け取る手数料収入のことで、営業外収益の勘定科目です。

重要な区別:

  • 手数料が本業の場合 → 「売上」として処理
  • 手数料が本業以外の場合 → 「受取手数料」として処理

:

  • 不動産会社が仲介手数料を受け取る → 売上
  • 製造業が土地取引の仲介をして手数料を受け取る → 受取手数料

例1: 支払手数料の仕訳

取引: 銀行振込手数料550円が当座預金から引き落とされた。

考え方:

  • 支払手数料(費用)が発生 → 借方
  • 当座預金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:支払手数料 550 / 貸方:当座預金 550

例2: 受取手数料の仕訳

取引: 取引先2社の仲介をして、手数料30万円を現金で受け取った。なお、手数料収入は本業ではない。

考え方:

  • 現金(資産)が増加 → 借方
  • 受取手数料(収益)が発生 → 貸方

仕訳:

借方:現金 300,000 / 貸方:受取手数料 300,000

受取家賃・支払家賃の仕訳

支払家賃とは

支払家賃とは、事務所や店舗など、事業用の建物を借りる際に支払う家賃のことで、費用(販売費及び一般管理費)の勘定科目です。

損益計算書では、販売費及び一般管理費に含まれ、営業利益を計算する際に差し引かれます。


受取家賃とは

受取家賃とは、自社が所有する建物を他者に貸し出して得る家賃収入のことで、営業外収益の勘定科目です。

損益計算書では、営業利益に加算されて経常利益を計算します。


例1: 支払家賃の仕訳

取引: 事務所の家賃15万円を現金で支払った。

考え方:

  • 支払家賃(費用)が発生 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:支払家賃 150,000 / 貸方:現金 150,000

例2: 受取家賃の仕訳

取引: 所有している建物の家賃20万円を現金で受け取った。

考え方:

  • 現金(資産)が増加 → 借方
  • 受取家賃(収益)が発生 → 貸方

仕訳:

借方:現金 200,000 / 貸方:受取家賃 200,000

例3: 家賃の前払い

取引: 来月分の事務所家賃15万円を現金で支払った。

考え方:

  • 前払家賃(資産)が増加 → 借方
  • 現金(資産)が減少 → 貸方

仕訳:

借方:前払家賃 150,000 / 貸方:現金 150,000

ポイント: 前払家賃や未払家賃などの決算整理については、経過勘定で詳しく学習します。


「支払○○」と「受取○○」の関係

簿記では、同じ取引に対して支払う側受け取る側で、対応する勘定科目が存在します。

自社が支払う場合(費用)自社が受け取る場合(収益)
支払利息受取利息
支払手数料受取手数料
支払家賃受取家賃
支払地代受取地代

覚え方のルール

  • 「支払○○」 → 費用 → 借方で発生
  • 「受取○○」 → 収益 → 貸方で発生

このパターンを覚えておくと、仕訳がスムーズにできるようになります。


まとめと第1問対策

頻出パターンのまとめ

このレッスンで学んだ勘定科目は、簿記3級の第1問(仕訳問題)で頻繁に出題されます。

頻出度が高い取引:

  1. 給料の支払い(源泉徴収あり): 預り金の処理がポイント
  2. 利息の仕訳: 計算問題と組み合わせて出題されやすい
  3. 旅費交通費の仮払金精算: 複合仕訳の典型例
  4. 手数料や家賃の仕訳: 「支払」と「受取」の区別

仕訳のチェックポイント

1. 費用と収益を正しく区別する

  • 支払○○、消耗品費、旅費交通費、給料 → すべて費用
  • 受取○○ → すべて収益

2. 借方・貸方を正しく記入する

簿記の基本原則で学んだように:

  • 費用は借方で発生
  • 収益は貸方で発生

3. 複合仕訳を恐れない

給料の源泉徴収や、旅費の仮払金精算のように、借方または貸方に複数の勘定科目が並ぶ場合があります。

ポイント: 取引を1つ1つ分解して考えると、理解しやすくなります。


まとめ

このレッスンでは、営業外の収益・費用など、その他の重要な勘定科目の仕訳について学びました。

重要ポイント

  • check_circle給料は総支給額で記録し、天引き分は預り金(負債)で処理
  • check_circle消耗品費は購入時に費用として処理(簿記3級の基本方法)
  • check_circle利息の計算式: 元金 × 年利率 × 期間(月数)÷ 12
  • check_circle支払利息・支払手数料・支払家賃 → 費用(借方で発生)
  • check_circle受取利息・受取手数料・受取家賃 → 収益(貸方で発生)
  • check_circle旅費交通費は仮払金を使って概算払い → 後日精算するパターンが頻出
  • check_circle手数料収入が本業なら売上本業以外なら受取手数料

次のステップ

次のレッスンでは、税金の仕訳について学びます。消費税の税抜方式・税込方式、仮払消費税・仮受消費税、法人税等の処理方法を理解しましょう。簿記3級で頻出の重要論点です。